マンドリンとマンドリンオーケストラ

マンドリンとは?

「マンドリン」について皆様はご存知であろうか。 マンドリンとはイタリア生まれの琵琶の形をした楽器である。
イタリアのマンドリンといえばベネチアのゴンドラ乗りがマンドリンを弾いているイメージで有名で、東京ディズニーシーの「ヴェネツィアン・ゴンドラ」付近でもマンドリンが飾られてるくらい、象徴的な楽器である。


最近だと、芦田愛菜さんがマンドリンを部活動で練習し始めたことでも話題となった。
本稿では、イチジクの縦割りに例えられるナポリ型マンドリンから発展したものを紹介することにする。
ブルーグラス、カントリーなどで使用され、アメリカ合衆国で派生したフラットマンドリンも有名であるが、紙面の都合上割愛させていただく。

マンドリンが生み出した画期的な奏法「トレモロ」

マンドリンは4コース8弦の撥弦楽器で、ピックを使って弦を弾くことで演奏する。
マンドリンは擦弦楽器であるバイオリンと比較すると音が小さく、1コースに2弦を張ることで音量アップを果たした。


一方で、2弦とも全く同じチューニングにしないと音が歪んでしまうため、演奏中でもしばしばチューニングがずれる。
そのため、上級者には演奏中であっても調弦を正確に素早く行う技術が求められる。
マンドリンは音量を上げるために必要に迫られてリュート系の楽器から派生することで2弦楽器へと進化したが、そこで副産物的に「トレモロ」奏法が発展してきた。


トレモロ(tremolo)とは、単一の高さの音を連続して小刻みに演奏する技法で、クラシックギターでも良く行われる奏法だが、マンドリンは2弦同時にトレモロすることで、ギターにはない安定性を獲得した。



日本で独自に発展してきたマンドリンオーケストラ

マンドリンが日本で流行したのは大正時代のことである。
1924年のラファエレ・カラーチェの来日によって、マンドリンが日本で本格的に流行することとなった。


イタリアでは3または4重奏が流行っていたものの、日本に輸入されるとまもなく、日本にて独自の「マンドリンオーケストラ」が発展してきた。
現在は、第1マンドリン、第2マンドリン、マンドラ、マンドロンチェロ、ギター、コントラバスによる6部編成が一般的である。
マンドリンオーケストラの発展を担ってきたのは、大学のマンドリンクラブを中心としたアマチュア団体である。


筆者も大学時代にマンドリンクラブに入部し、初めて弦楽器を習得した。
バイオリンなどと比べると知名度や音量に劣るものの、フレットがあるため音感がない初心者でも気軽に始められるところが魅力的であった。

新しいマンドリンオーケストラの魅力

筆者は大学時代、大学のサークルのような非営利組織が主催する様々なマンドリンコンサートに足を運んだ。
そこでは、マンドリンは高齢者のものというイメージを覆すために、若い団員が著名な歌手などとコラボすることで、新たらしい文化を築こうと努力する姿があった。
一般的なコンサートでは未就学児の入場が禁止となっているが、入場可とすることで子連れの音楽ファンにも来てもらおうとする姿勢に好感を抱いた。
マンドリンのコンサートは入場料が安価であるものが多く、このように初心者に対して幅広く門戸を開いている。


コロナウイルスのパンデミックでなかなかコンサートには足を運べない状況ではあるが、YouTube動画も充実してきているので、興味を持った読者は是非一度演奏を聴いていただきたい。

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